薬剤師の関わる仕事は調剤薬局、ドラックストア、病院がメインで、その合計は薬剤師就職全体の7割を占めます。近年薬剤師の働き方は多様化してきており、他の業種の業務内容ややりがいについて知りたい薬剤師さんも多いのではないでしょうか。
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この記事では、下記の読者に情報発信できたら幸いです。
・自分が働いている場所より、やりがいがある業種を知りたい。
・就職先で悩んでおり、視野を広げて就職活動をしたい。
・年収や業務内容など、業種別に詳しく纏まった情報が知りたい。
【参考】厚生労働省 薬剤師に関する基礎資料 【詳細はこちら】
1,調剤薬局
2,ドラッグストア
3,病院
4,診療所・クリニック
5,国家公務員薬剤師
6,地方公務員薬剤師
7,麻薬取締官
8,MR
9,MS
10,企業内診療所
11,品質管理
12,CRC(治験コーディネーター)
13,臨床開発モニター
14,コールセンター
15,研究職
16,開発職
17,DI
18,学校薬剤師
19,在宅医療薬剤師
お役立ちコンテンツとは、薬剤師による「薬剤師のため」の仕事に関する有益な情報を発信する記事になります。
アドセンスやアフィリエイト(広告利益取得)等による広告収入を得るの目的は一切なく、薬剤師の仕事の悩みを解決できるようなコンテンツを目指します。
1.調剤薬局
-仕事内容
調剤薬局とはその名の通り「調剤」をする薬局です。「調剤」とは医師が発行した処方せんを元に、薬を間違いなく取り揃え、患者さんに服薬指導を行い提供することです。昔は薬剤師は対物業務と言われていましたが、今は対人業務に大きく変化しています。診療報酬改定により、薬局は地域医療の中核を担う存在として、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師が推進されています。薬剤師の役割は年々多様化しており、調剤薬局薬剤師にも多くのスキルを求められます。薬の飲み合わせの相談、サプリメントや健康相談、薬局によっては注射の混注や患者さんの家に訪問して配薬や服薬指導を行います。
-収入や待遇
調剤薬局に勤務する薬剤師の平均年収のレンジは400-650万円だそうです。勤務形態としては正社員、パート、派遣と様々あります。管理薬剤師になると年収は上がりますが、その分責任も大きく、労働時間も長くなりがちです。年収と仕事内容が釣り合わないと感じる人も多いです。また、初任給は同世代の平均と比べて高いですが、昇給しにくいとの声もあります。更に、かかりつけ薬剤師となると24時間オンコールで対応する電話を持つ必要があり、プライベートにも支障がでる場合があります。安泰に高収入を得られる、という世間の認識とはズレがありそうです。
-やりがいとは
薬局薬剤師のやりがいの1つに患者さんと長く関係を築くことができます。近年の診療報酬改定の流れでは、国は薬局を病院門前から地域密着のかかりつけ薬局へと変化を求めています。「病院の門前の薬局へ行く」という考えはもう古いのです。かかりつけの薬局になることで、その患者さんと長い付き合いになります。「家族が薬を取りに来るようになった。体調が悪いのかな?」「お金のやりとりがつたなくなったな、もしかして認知症?」等、薬局薬剤師だから気付く患者さんの変化はたくさんあります。そういった時に「家族の負担を減らすために在宅訪問を提案してみよう」「残薬のチェックや一包化は不要か?」と患者さんの生活に寄り添えるのが、薬局薬剤師なのです。機械的にただ薬を渡す、という事から一歩進んだところに、大きなやりがいがあります。
2.ドラッグストア
-仕事内容
ドラッグストアの仕事は、処方箋取り扱いをしているか、していないかで大きく変わります。処方箋取り扱いのドラッグストアでは、先述した調剤薬局の業務も追加、ないしはそちらが優先されるとお考えください。ドラッグストアでは処方箋なしで購入できる市販薬(OTC医薬品)を多く取り扱っていることが最も特徴的です。中でも「要指導医薬品」や「第一類医薬品」は販売時に薬剤師の指導が必要です。また、お客さんから相談を受けた際は、症状やアレルギー歴等を聞き取り、数多くの市販薬の中からお客さんに合ったものを選ぶ手助けもします。また、ドラッグストア内の業務としてレジ打ち、日用品の品出しや棚卸し、ポップ作成などもあります。これらは確かに薬剤師でなくともできる業務です。だからと言ってモチベーションを下げるのではなく、自分が店の一員として店がより良くなるように働きかけるとより仕事にやりがいが生まれるでしょう。
-収入や待遇
ドラッグストアで働く薬剤師は、病院や調剤薬局で働く薬剤師より平均年収レンジは400-700万円と高くなっています。年収が高い理由として、ドラッグストアの薬剤師は調剤業務以外にも様々な業務を担うこと、夜間や土日にも営業する店舗が多く、勤務時間が長くなりやすいことなどが挙げられます。また、チェーン店が多く、エリアマネージャー等経営に関わる業務へ昇進するルートが確立されているのも年収が高くなる要因です。
待遇としては、大手チェーンでは経営基盤が安定しており、人員も充足されてきています。その為福利厚生が良く、休みもとりやすい環境となっているそうです。しかし店舗の多くは夜間や土日祝も営業しており、世間一般の勤務時間や休みとは合わない可能性が高いです。
-やりがいとは
ドラッグストアで働く薬剤師のやりがいはセルフメディケーションの一助ができることです。調剤を担う薬剤師は、医師の処方箋通りにしかお薬を渡すことしかできません。しかし、OTC薬であれば薬剤師の采配でお客さんに合ったものを購入してもらうことができます。私の友人のドラッグストア勤務薬剤師は、自身で漢方や東洋医学を学び、お客さんにその知識を活かした接客をしているそうです。彼を信頼してわざわざ訪ねてくるお客さんも増え、やりがいを感じていきいきと働いています。また、ドラッグストアの薬剤師は最も身近な医療従事者です。自分が知識をつけた分だけ患者さんに頼りにしてもらえると実感できるでしょう。
3.病院
-仕事内容
病院薬剤師の仕事内容は多岐にわたります。調剤や服薬指導はもちろんのこと、DIやTDMや混注、カンファレンスや回診の参加などがあります。薬局との大きな違いは、患者さんのカルテを閲覧できる事、他職種と連携することです。薬局では薬から疾患を推測しますが、病院では疾患の診断から治療方針の決定を経て薬が始まるという経過が追えます。他職種と連携するにあたり、最低限の共通知識(ガイドラインや医療用語、治療内容等)が必要ですので、入社後は薬以外の知識について自己研鑽に努めなければなりません。また、病院によっては当直があります。入院患者さんや救急外来に来た患者さんの内服や点滴を調剤します。夜間は最低限の人数で勤務するので、1人で全ての業務を対応しなければいけない病院も多いです。
-収入や待遇
病院薬剤師の平均年収レンジは300-550万円と、調剤薬局やドラッグストアの中では最も低くなっています。しかも残業代や当直手当てがついてこの年収ですから、基本給としては更に低いです。業務量と勉強量に見合う給料かと考えると、割に合わないというのが正直なところではないでしょうか。しかし病院でないと得られない経験がありますので、それを自己投資ととらえて働けるかどうかがポイントかと思います。一昔前と比べると、産休育休制度や時短勤務等も普及してきています。しかし民間病院や中小規模の病院では人員不足や制度が確立されていないなどの理由から、十分な福利厚生が受けられない事がありますので、入社前に確認が必要です。
-やりがいとは
入院した患者さんが日を追う毎に元気になる姿を目の当たりにしたり、他職種から頼られ感謝されたり、最前線の医療を学べたり、やりがいを感じるタイミングはたくさんあります。薬局やドラッグストアと違い、入院患者さんは密度濃く関わることができます。入院期間中に何度も指導を行うことで、入院前より薬について何か1つでも問題が解決できるような介入ができると、大変やりがいを感じます。
4.診療所・クリニック
-仕事内容
診療所・クリニックとは、病床数が1~19の有床診療所と、病床を持たない無床診療所なども含まれます。院内調剤と聞くと、病院薬剤師のような業務をイメージしますが、基本的な業務は実は調剤薬局とあまり変わりありません。調剤、服薬指導、在庫管理等が基本の業務です。調剤薬局との大きな違いは、当たり前ですが勤務する診療所・クリニックからの処方箋しか受付ないことです。そのため薬の種類は勤務する診療所・クリニックの医師が処方するものだけ置いて置けばよいので、かなり限られます。調剤スペースは狭く薬剤師は一人でまわすことがほとんどです。保険点数については医療事務の方が担当していることが多く、薬剤師が管理することはほぼありません。他職種と働きますので、薬の専門家として相談を受けることもあります。
-収入や待遇
診療所・クリニック経営者の考えにもよりますが、年収は400万円前後が多いようです。病院と異なり、当直がないので当直手当等はありません。勤務としては平日1日休み、土曜日午後と日曜祝日を休診とする診療所・クリニックが多いです。ここは門前応需がある調剤薬局と同じような感じです。また、診療所・クリニックはゴールデンウィークやお盆、お正月休みをしっかりとるところが多いので、世間が連休の間は同様に休みをとれることが多いです。時給契約の方は休診日が多いほど月給も下がりますので、ここは注意が必要です。
-やりがいとは
診療所・クリニックで働く薬剤師のやりがいは、長期的に患者さんと深く関われることです。現在はかかりつけ医が推奨されていることもあり、症状が安定している継続的な投薬は診療所・クリニックが担います。その為リピーターの患者さんとは長期間の付き合いになります。基本的に一人薬剤師なので、引継ぎなく自分ひとりで経過を追えるのも、比較的時間をかけて指導ができるのも診療所・クリニックの薬剤師ならではです。更に処方する医師と同じ場所で働くので、処方意図が分かったり、カルテの内容を服薬指導に活かすことができるので、自信を持って投薬ができます。ただし、良くも悪くも規模が小さく、触る薬も限られているので、多くの薬について学びたいと思う方には少し物足りないかもしれません。
5.国家公務員薬剤師
-仕事内容
国家公務員としての公務員薬剤師は、厚生労働省の総合職の薬系技術職員と呼ばれる職種です。仕事の内容としては多岐に渡っていますが、大きく言うと「国民の健康を守る為に薬学が関係する分野の決まりを作ったり、方針を決める」ということです。薬剤師国家試験の内容で言うと法規や衛生の分野というと、イメージがつきやすいでしょう。もう少し詳しく説明すると、薬事分野(医薬品等の有効性安全性の確保や流通、薬剤師国家試験作成)、保健医療分野(診療報酬や薬価の設定、薬剤師の職能を考える)、食品安全分野(加工食品の保存剤や香料の規制)、化学物質分野(化学物質のリスク評価、毒物・劇物の取締り)、研究開発分野(新薬や医療機器の開発推進)などがあります。
-収入や待遇
収入としては、初任給は決して高くありませんが、安定性があり毎年昇給があるので、昇給しにくいと言われる薬剤師の職業の中では珍しい存在です。福利厚生は充実しており、子どもがいる男性職員の育休やフレックス出勤の制度もあります。女性職員のこれらの制度はもちろんですが、男性職員にも子育て支援する制度が充実しているのは今はまだ珍しいです。しかし国家公務員なので、全国転勤の可能性があります。部署はおおむね2年毎に異動するそうです。勤務地に制限がある方や引っ越しや部署移動が苦痛に感じる方には不向きかもしれません。しかし流動性のある職場は様々な経験を積めたり、風通しが良くなる傾向にあるので、悪いことばかりではありません。
-やりがいとは
自分の働きが医療現場や国民全体に影響を与えることができます。とりわけ、新型コロナ感染症では、ワクチンや新薬の承認・流通など薬系技術職員の働きによって前進していきました。患者さんに直接感謝されることは少ないかもしれませんが、それ以上に多くの国民の健康を支えているということが、大きなやりがいでしょう。また、現場で働く薬剤師の指針を示し、薬剤師がより職能を発揮し社会貢献できる世の中にすることも、大きな使命です。
6.地方公務員薬剤師
-仕事内容
地方公務員薬剤師は、各地方自治体によって仕事の内容にバラつきがあります。県庁の薬務課や保健所、衛生検査場という、臨床でない仕事だけという自治体もありますし、公立病院の薬剤師として配属される場合もあります。病院薬剤師については先述しているので割愛させていただきます。
以下に具体的な配属先と仕事例をあげます。
県庁、役所、地方厚生局(医薬品メーカーなどへの立入検査や監視指導、製造販売許可)
保健所(食品・薬事・水道・生活衛生に関わる業務)
衛生研究所(食品・感染症などの予防、衛生管理、監視、指導)等です。
-収入や待遇
収入としては、国家公務員と同様です。初任給は決して高くありませんが、安定性があり毎年昇給があります。地方自治体により多少の差はありますが、安定した職業であることは間違いありません。福利厚生も整っており、病院勤務以外は残業も多くなく、ワークライフバランスを保ちながら働きやすい環境であることが多いです。また、国家公務員と違い、転勤があっても地方自治体内とある程度地域が限定されているので、仕事を続けやすい要因になっています。
-やりがいとは
地方公務員薬剤師のやりがいは、地域住民の公衆衛生、食品や薬事の安全管理に貢献できるということです。愛着のある地方自治体で働くことができれば、その地方に貢献することによりやりがいを感じられるでしょう。また、企業に雇用される薬剤師は、やはり企業の利益を優先しなければいけない側面がありますが、公務員であれば国民の利益を最優先に考えられます。
また、公立病院と役所の双方に転勤がある地方自治体では、薬剤師として得られるスキルがとても幅広くなります。そうした民間病院や企業の品質管理の薬剤師では経験できないスキルをどちらも身につけられるというのは、なかなか他にない職業です。そして、収入や待遇と業務内容のバランスに満足している人が多く、仕事を続けるモチベーションにもなるでしょう。
7.麻薬取締官
-仕事内容
麻薬取締官と聞くと、警察の密着ドキュメンタリー等でよく登場するので、警察庁管轄かと勘違いされる方も多いですが、厚生労働省管轄の国家公務員です。違法薬物に関する捜査や情報収集、取り締まりなどを行うのが主な業務です。また、医療用麻薬や規制薬品について不正流通や不正使用がされていないか、医療機関や製薬企業に立ち入り検査を行い、指導します。更に薬物乱用防止に向けた啓発活動なども大切な業務の1つです。
-収入や待遇
収入としては国家公務員である為、安定しており、毎年の昇給もあります。しかし、麻薬取締官の主な業務である「捜査」は、張り込みや潜入調査等、昼夜問わずの勤務となります。基本的には土日祝休みで、有給休暇も20日間ありますが、休日出勤分は振替で休みとなる等、シフト制に近い勤務です。また、国家公務員という性質上、転勤は全国であります。また、違法薬物は暴力団との関わりが根深かったり、違法薬物を使用している人は正常な判断ができない為、危険がついて回ります。そういう危険が伴う職業であることを受け入れ、正義感が強く体力、精神力ともにタフな人が向いているでしょう。
-やりがいとは
.麻薬取締官のやりがいは、やはり捜査が実を結び、摘発に漕ぎ着けた時に感じるです。麻薬取締官の逮捕の瞬間等はテレビ番組で取り上げられますが、その裏には情報収集、張り込み等、膨大な時間を費やす地道な捜査があります。世の中の薬物中毒者がひとりでも減るように日々奮闘しているのです。摘発の内容が大きな密売であったりすると、なおのこと達成感があるでしょう。また、違法薬物の恐ろしい依存性を知っているからこそ、違法薬物に手を染めてしまった人が社会復帰した姿を見ると、ひとりの人生に貢献できたとやりがいを感じます。違法薬物を取り締まるだけでなく、違法薬物に手を出さないような働きかけをするのも、麻薬取締官の大きな使命です。
8.MR
-仕事内容
MRとは、Medical Representativeの略で、医薬情報担当者といいます。医師や薬剤師等の医療従事者に対して、医薬品の情報を提供します。その内容は医薬品の安全性や有効性、副作用等、自社(または委託販売している企業)の医薬品にまつわる様々な情報が対象です。MRは営業職と呼ばれますが、今では金銭を伴う接待は禁止されていますし、主催の勉強会でボールペン1つ配るのも厳しく制限されているところもあります。ですので、あくまで医薬品の情報を正確に理解しプレゼンする力によって、医師の処方に繋がります。医療機関への訪問、勉強会の開催、問い合わせの応需、副作用報告の収集等、業務の幅は広く、人脈や深い専門性が必要です。
-収入や待遇
MRは高収入というイメージがありますよね。確かに他の職種に比べると平均年収レンジは500-800万円と高いです。しかし、土日祝日に講演会があったり、医師の外来診療が終わるのを待ったり、自己学習をしたり、自由な時間が多い訳ではありません。そして営業職ですので、売り上げが評価に関わるのでプレッシャーもあります。中には医師から横柄な態度をとられて、精神的にまいってしまう場合もあるでしょう。そういうマイナスな部分も含めての高い年収であることを忘れてはいけません。そして今までは製薬会社は薬価という守られた利益により、業績を伸ばしていました。しかし、医療費の逼迫によりジェネリックが推進されるようになり、経営が悪化する製薬会社も少なくありません。大手の製薬会社でも、早期退職者を募ったり、給料を上がりにくくする動きが出ています。
-やりがいとは
MRは医療従事者の良き相談相手です。医療従事者は日々答えのない中、患者さんに最適な治療を模索しています。もちろん判断に迷うことは多々あります。そんな時に頼りになる存在がMRです。医療従事者から頼りにされたり、感謝されるとモチベーションがアップします。そして何より自分が用意したデータや資料を元に、医師が処方決定し、患者さんの病気が少しでも良くなったと聞くと、とてもやりがいを感じます。患者さんに実際に会う訳ではないですが、必要な薬を必要な患者さんに届けられる事がMRの醍醐味です。
9.MS
-仕事内容
MSはMaketing Specialistの略で、医薬品卸売会社の営業担当者です。よく比較されるMRの雇用元が製薬会社であるのに対し、MSの雇用元は医薬品卸売会社です。医薬品卸売会社の使命は、中立な立場で質の担保された医薬品や医療材料、医療機器などを、 医療機関や薬局に安定的に供給することです。また、不正な流通を防ぐのもMSの大きな役割です。加えて、MSは医療機関や薬局と価格交渉を行います。会社の利益に直結する業務を担っており、幅広い知識や営業能力が必要です。そして、単に医薬品を販売するだけではありません。 薬の有効性や安全性、医療制度、季節性の疾患(インフルエンザ、花粉症等)の流行状況などの 情報提供活動も行います。
-収入や待遇
MSの平均年収は445万円と、医療業界では高額という印象ではありません。しかし、良くも悪くも年功序列制が多く、年齢と共に昇給していく場合がほとんどです。更に業績により評価されますので、自分の頑張りが給与に反映されるのはモチベーションアップにつながります。MSは何が起こるか分からない医療の流通を支える役割ですから、休日夜間関係なく対応する必要があります。長期休暇中でも、病院に今必要な薬の在庫がないとなれば、緊急で電話がかかってきます。当番制をとっている営業所が多く、月に数回は休日出勤しなければいけないでしょう。
-やりがいとは
MSのやりがいは、様々な職種の人と信頼関係を構築することです。MSは仕事をする上で社内の人とはもちろん、医師、薬剤師、MR、訪問先の事務の方等、たくさんの人と話す機会があります。その中で自分の働きかけにより、信頼を得て交渉が上手くいくとやりがいを感じるでしょう。最近は新型コロナの影響で、医薬品の流通が停滞することが多々起きています。そんな時にいち早く情報を提供し、代替薬の提案するのもMSの仕事です。こうした医薬品の安定した流通を支え、その先にある患者さんの治療に貢献できると実感したときにもやりがいを感じます。
10.企業内診療所
-仕事内容
企業内診療所とは「企業内に設置された医務室」のことです。その企業で働く従業員が就業中に体調不良となった時に受診し、薬の処方受け取りもできます。就業時間内に会社を抜けて病院に受診することが難しい従業員にとって嬉しい存在です。また、従業員の健康促進を目的に、健康相談会やセミナーなどを企画することもあります。主な業務としては、受診した従業員への調剤や服薬指導、在庫管理、健康相談会等の企画運営、企業内の衛生管理などがあります。業務自体は病院や町の調剤薬局などのように忙しくはありません。通常薬剤師は1人ですが、問題なくこなせる業務量でしょう。自分のペースで仕事をしたい人に向いています。
-収入や待遇
企業内診療所の薬剤師の年収としては400万円前後です。企業の就業時間内にしか開いていないので、残業はほぼなく、ワークライフバランスをとりやすい職業と言えるでしょう。しかし、企業内診療所の数は大手企業などかなり限定された場所にしか設置されていません。人気があり、募集もめったに出ないので、必ずしも企業内診療所で働くという希望が通るとは思わない方が良さそうです。ある程度大きな会社の本社内にあることがあるので、立地的には都心部になることが多いです。住居の場所によっては、そもそも選択肢にないということもあるでしょう。
-やりがいとは
企業診療所内の薬剤師は、忙殺されることなく、自分のペースで働けます。その為一人一人の患者さんに丁寧に関わることができます。体調が悪くてもなかなか休みが取れないという従業員の心の拠り所になれます。その他、健康相談会等、自分で企画・発信をする機会があるので、健康に関して役に立つことをやってみたいと思う人には、ある程度の裁量も得られ自由にできるので向いています。また、ワークライフバランスを保ちながら、無理のない範囲で働きくことができるので、子育てやプライベートを大事にしたい人には満足度が高い仕事です。
11.品質管理
-仕事内容
品質管理という仕事は自社の医薬品がGMPを遵守してつくられているかどうかをチェックする仕事です。GMPとは、Good Manufacturing Practiceの略称で、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」を示します。GMPには以下の3つの原則があります。
1.人為的な誤りを最小限にすること。
2.医薬品の汚染及び品質低下を防止すること。
3.高い品質を保証するシステムを設計すること。
すなわち、医薬品の品質を各工程毎に検査し、更に質が下がらないような仕組み作りをしましょうと言うことです。品質を検査するには様々な分析機器を使います。そして問題があれば原因を考察し、関係部署に報告します。もちろん、問題が起こらないように、マニュアルや検査項目を整備するのも仕事の1つです。
-収入や待遇
品質管理の薬剤師は、同じ製薬会社で働くMRや研究職に比べると平均年収が400-500万円と低いですが、年功序列制の場合が多く勤務年数と共に昇給することがほとんどです。そして福利厚生はしっかり整備されている企業が多いです。産休育休はもちろん、土日祝日は休みとなっている場合が多いので、ライフワークバランスがとりやすく、出産を経ても女性が働きやすい職場です。
-やりがいとは
「爪白癬の薬に睡眠薬が混入していた」というニュースはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。このようなあってはならない事故が起きると、製薬会社の信用は無くなってしまいます。日本では薬の品質に対して絶対の信頼が置かれており、誰も薬に別の物資が入っているなんて思いもしなかったので、このニュースは大きな衝撃を与えたのでしょう。この薬に対する信頼は間違いなく各企業の品質管理の薬剤師が築いてきました。「当たり前のことを、当たり前に行えるようにする」これが品質管理の薬剤師に求められることです。これほど責任感のある仕事はなかなかありません。直接的ではありませんが、多くの患者さんの健康や安全を守ることが、やりがいになります。
12.CRC(治験コーディネーター)
-仕事内容
CRCは治験コーディネーターと言います。医療施設において治験を実施するためのさまざまなサポートを行い、製薬会社、医療機関、被験者の間で調整をおこなう役割を担います。治験開始前から時系列的に例をあげると、治験実施計画書(プロトコル)の理解、スタートアップミーティングの補助、検査機器の管理、被験者の募集と治験の説明文書と同意書の作成、被験者のスケジュール管理と対応、製薬会社に報告する症例報告書の作成、有害事象への対応、治験終了報告書の作成等があります。対人、対物、デスクワークと多様なスキルと管理能力が必要な仕事です。
-収入や待遇
大手SMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)企業の平均年収は320‐450万程度で、企業で働く薬剤師としてはMRや研究職に比べると低い傾向にあります。しかし、基本的に土日祝日は休みですし、自己裁量の部分が多いので効率良く業務をこなせば残業時間もさほど多くはありません。もちろん医師の診察後に打ち合わせが入ったり、重篤な副作用が起きて緊急で呼び出しがある時もあります。フレックス制度を採用する企業も多く、子育てと両立しやすい環境です。福利厚生も、大手の企業は整備されており、働きやすい環境です。
-やりがいとは
CRCのやりがいとは、なんと言っても治験を行った医薬品が承認審査をクリアし、販売されることです。発売された医薬品には自分が育てたかのような愛着すら感じます。発売されることにより、必要とする多くの患者さんの元へ医薬品を届けることは、臨床で働く薬剤師には得られないやりがいです。また、直接被験者とやり取りができるのもやりがいの1つです。治験は未知の副作用の可能性もあり、治験者は多かれ少なかれ不安を抱えています。その不安を軽減できるように疑問に答え寄り添うのがCRCの大きな役割です。
13.臨床開発モニター
-仕事内容
CRAは「臨床開発モニター」といい、新薬の有効性や安全性を確かめる治験の円滑な進行をサポートをします。CRCと混同されやすいですが、業務内容の大きな違いとして、CRAは薬を開発する「製薬会社」の業務を、CRCは治験が行われる「医療機関」の業務に携わっています。具体的な業務として時系列的に並べると、実施医療機関の選定、治験の実施依頼と契約の提携、治験責任医師および治験担当医師の選定治験実施状況の調査・確認(被験者適性の確認、プロトコル遵守の確認)、症例報告書の回収・点検および修正依頼、カルテなどの原資料閲覧と症例報告書との照合、モニタリング報告書の作成、有害事象への対応、治験薬の回収、症例報告書の回収と点検、治験責任医師への終了報告などがあります。特徴として、CRCのように被験者と直接やり取りすることはありません。CRAはCRO(開発業務受託機関)や製薬会社が雇用主となります。
-収入や待遇
収入としてはCRAの平均年収レンジは450万円~700万円相場だそうです。中途採用も多い業界で年収には幅があります。年功序列でなく、実績に基づいた評価・報酬がされやすい風潮があります。CRAは外勤と内勤が約半々で、治験の段階によっては外勤がメインとなることがあります。外勤の為に移動が長時間となることもあるようなので、勤務時間=拘束時間とはならない場合もあります。外勤先が遠方の場合は出張手当がつくところもあるようです。また、福利厚生は整備されていることが多く、基本的には土日祝日が休みです。企業により忙しさはまちまちで、残業の実体などはよく確認しておいた方がよさそうです。
-やりがいとは
CRCと同じく、治験を行った医薬品が承認審査をクリアし、販売される時に達成感を得られます。被験者の方に直接会うことはありませんが、データや担当医師伝いに薬の効果を実感できます。そして自分が関わった医薬品が多くの患者さんが待ち望んでいたものだと実感できると、更にやりがいを感じられるでしょう。また、今後は海外メーカーと共同試験も増えてきます。海外メーカーとのやり取りや文献等、英語がかなり必要です。もし英語が得意であればそれを生かすチャンスです。何より先進的な知見を生身で体感しながら働ける環境はそうありあせん。自分が医療の未来を切り開いているという事が何よりもやりがいに感じるでしょう。
14.コールセンター
-仕事内容
薬剤師が活躍するコールセンターとは、製薬会社、医療機器メーカー、医薬品卸などがあります。ではどういった方から電話がかかってくるのでしょうか。それは医療従事者等プロの方や患者さんです。薬剤師であれば、一度は製薬会社に電話をかけたことがあると思います。内容としては資材の請求等簡単なものから、症例報告や臨床試験データの内容等、専門性の高いものまで様々です。問い合わせを受けると、情報を収集し関連文献を読み込み、相手が求めるような形で回答します。そして電話にでるだけが仕事ではありません。問い合わせを集計し社内資料を作ったり、研修会を実施したり、他部署との連携も必要です。顔の見えない相手からの要望を瞬時にくみ取り、対応を考えるのは柔軟性や日々の積み重ねが必要です。
-収入や待遇
年収としては400万円程で、製薬会社で働くMRや研究職と比較するとやや低く感じます。また、パートタイマーでの募集もあります。残業量は多くなく休日も確保されているためワークライフバランスを保ちつつ働けます。また、コールセンターは女性が活躍する職場であり、福利厚生が整備され妊娠・出産を経ても働きやすい環境であることが多いです。そして、ほとんどがデスクワークですので、体力に自信がない方でも働くことができます。薬剤師は立ち仕事が多いので、貴重な職業だと思います。
-やりがいとは
コールセンターで働く薬剤師のやりがいは、難しい問い合わせに対し調べたことを伝え、感謝された時に感じます。それだけでなく、問い合わせの内容を分析し、他部署に改善案を伝えそれが反映される時もやりがいを感じます。コールセンターで働くと、相手の反応を直接聞くことができるので、自分のスキルを磨けば磨くほど周りに貢献できることが実感できます。顔の見えない同士なので、難しいコミュニケーションではありますが、その分スムーズなやり取りができると相手に好印象を持たれます。会社の顔となる仕事ですので、責任ある仕事と言えるでしょう。
15.研究職
-仕事内容
研究職の仕事内容は、基礎研究と応用研究の2つあります。基礎研究では新しい薬の成分、病気や体のメカニズムについて研究します。例えば、がん細胞はなぜ免疫系から逃避することができるのか、そのメカニズムの解明等が基礎研究です。そして、がん細胞が免疫系から逃避するためのシグナルを阻害する物質を作って抗がん剤の設計を目標とするのが応用研究です。基礎研究は大学や研究機関で行われることが多く、応用研究は製薬会社で行われることが多いです。
-収入や待遇
大手製薬会社 の研究職の平均年収レンジは450-750万円と企業で働く薬剤師の中でも高いです。これは研究職という製薬会社の根幹を担う非常に重要な役割であるからです。優秀な人材が数多く応募し、選ばれるのはごく少数で大変狭き門です。修士課程以上の学歴が必要ですし、ある程度大学で研究成果を出し、論文を出していないと選考のスタートにも立てないことがほとんどです。そうした選ばれた人材であるからこそ、それに見合った待遇として収入も高く設定されています。また、福利厚生も企業で働く場合は充実しています。しかし残業や休日出勤に関しては化学反応や動物を使った研究だと、どうしても拘束時間が長くなりますので、他の職種に比べるとワークライフバランスはなかなか取りづらいと思います。
-やりがいとは
研究職のやりがいは、行っている研究が実を結んだときに感じます。それは仮説を立証できたり、論文として世に送り出した時、更に名誉ある科学雑誌に論文が載った時などです。しかし研究は決して成功ばかりではありません。地道に失敗を繰り返しながら、時には仮説を疑い修正を加えて進めていくものです。かなりの忍耐力と問題解決思考が必要です。今の研究が上手くいったとしても、脚光を浴びるのは数年後かもしれません。それでも目の前にある問題に向き合い、努力を積み重ねることで得た結果は世の中の多くの人を救う薬に結びつく可能性があります。研究者はその可能性にかけて、モチベーションを下げずに仕事を続けることが大切です。
16.開発職
-仕事内容
製薬会社の開発職は、実験室にこもって実験を行うわけではありません。研究部門が作った薬を実際に人に投与して効果や問題点を調べる臨床試験を開発計画や試験内容(プロトコル)の立案・検討を進め、安全性を立証し、製造販売承認を得ることが仕事です。自社のCRAがこの業務の一端を担っている場合もあります。臨床試験で得られたデータを元に論文を作成し、審査機関に提出します。もちろん臨床試験中に問題が出てくることもあります。それをフィードバックし修正を加えたり、そもそも薬として使えないという結果になることも多いです。開発職は自社だけでなく、医療機関やCROとも連携をとらなければいけません。様々な場所に出向く必要があります。また、作成する書類も多いです。専門的な知識はもちろん、コミュニケーション能力も必要です。
-収入や待遇
大手製薬会社の開発職の平均年収レンジは450万円~700万円と企業で働く薬剤師の中でも高いです。業務量としては臨床試験が動き出すと出張が多くなったり、データ収集、文献作成等、業務が多忙になります。その時には残業が増えたり、休日出勤しなければいけない日もでてきます。福利厚生は他の企業で働く薬剤師と同様整備されていることが多いです。
-やりがいとは
開発職のやりがいとは何と言っても開発に携わった新薬が上市されることです。開発職は良い薬を患者さんのもとに届ける一番の担い手と言えるのではないでしょうか。良い薬であったとしても、臨床研究が滞ったり、データが集まらないと承認、販売されることはありません。また、開発職は会社の明暗を分ける重要な仕事です。例えばSGLT2阻害薬はほぼ同時期に複数の製薬会社から発売されました。SGLT2阻害薬なので、Ⅱ型糖尿病の治療薬として売り出されたのですが、その利尿作用から心不全に対する効果を確認する試験をした製薬会社がありました。結果、心不全への有効性を示せたSGLT2阻害薬は他社との差別化に成功したのです。これは開発職の戦略が功を奏したひとつの事例です。自分で立案・検討した臨床試験が期待通りの結果を示し、承認までたどり着いたとき、大きなやりがいとなるでしょう。
17.DI
-仕事内容
DIとは、Drag Informationの略であり、医薬品の情報を管理する業務を指します。病院でもDI担当者はいますが、ここでいうD I担当者は主に製薬会社や医薬品卸業者等、企業に配置されている人のことを言います。医薬品は臨床試験が終わった後も、副作用報告があったり、試験がされたり、文献がでたりどんどん情報はアップデートされます。そのデータを必要な時にすぐに出せるよう管理するのもDI担当者の仕事です。また、副作用などの情報を資料にし、厚生労働省に報告する場合もあります。更に医療従事者からの問い合わせや、MRが持ち帰った質問に対し返答をする業務もとても重要です。
-収入や待遇
年収としては400-600万円と、MRや研究職と比べるとやや低く設定されている企業が多いです。しかし企業によって年収に差があり、外資系では高額な報酬を受けられる企業もあります。残業は多くなく、基本的にはデスクワークですので、体力に自信のない方でも続けられます。また、土日祝日は基本的に休みですので、ライフワークバランスを保ちやすいです。しかし、スムーズに質問に応対するには資料の読み込みや自己研鑽が必要です。更に論文はほとんどが英語ですし、外資系の場合はより英語力が必要です。知識をインプットし続ける事が好きな人に向く仕事と言えます。
-やりがいとは
DI担当者は医療従事者を支えるというのが大きなやりがいです。医療従事者は日々試行錯誤しながら患者の治療に当たっていますので、疑問点が出てきたり悩むことが多々あります。そんな時に助けになるのが、DI担当者からの情報です。今はネット検索すれば大量の情報がでてきますが、医学的根拠を持った情報というのは、やはり製薬会社が持つものが信頼できます。DI担当者は質の高い情報をニーズに合わせて提供することで医療に貢献できます。医療従事者に頼りにされていると実感した時、やりがいを感じるでしょう。
18.学校薬剤師
-仕事内容
学校薬剤師は、学校保健安全法により、大学以外の学校には1名以上配置することと定められています。児童生徒の健康増進のため、学校における環境の維持管理に関する助言と指導、換気・採光・照明・水質の調査をしなければいけません。2009年、学校保健安全法及び学校保健安全法施行規則が新たに施行され、学校薬剤師の職務は学校環境衛生に加えて、健康相談、保健指導にも従事するよう求められています。薬剤師という名前であっても、調剤や服薬指導の業務とは大きくことなります。また、健全な学校保健の為に学校薬剤師には、教育にふさわしい人間性を持ち、教育に正しい理解を持ち、職務に必要な知識の研鑽が求められます。
-収入や待遇
学校薬剤師の報酬は地域によって異なりますが、年収10万~20万円程度です。なぜこのように低い年収かというと、多くの場合学校薬剤師は非常勤であり年に数回ほどしか勤務しないからです。そのため、一般的に学校薬剤師としての仕事は、本業ではなく副業として行うことがほとんどです。
-やりがいとは
現在の学校薬剤師の業務は、まだまだ決められた検査を行う事にとどまっています。文部科学省は学校薬剤師による薬物乱用防止やアンチドーピング、薬害、薬の適性使用などについて専門家の立場から指導をするように推奨しています。近年、違法薬物犯罪者の低年齢化、ネットショッピングでサプリメントや未承認の薬を購入する機会の増加等、若い世代への薬に関する指導が重要になってきています。今後はより学校薬剤師も教育者の1人として、子ども達の健康に関わっていく必要があります。まだまだ世の中のニーズを開拓していける職業ですので、やりがいを感じられます。また、子ども好き、教えるのが好きという方であればよりやりがいがあるでしょう。
19.在宅医療薬剤師
-仕事内容
在宅医療薬剤師は、訪問薬剤管理指導を行なっている薬局、または数はまだ少ないですが在宅療養支援診療所で活躍することができます。2014年には在宅療養支援認定薬剤師が制定され、診療報酬改定では地域包括ケアが推進され、ますます注目度が上がっています。業務の内容としては患者さんのニーズに柔軟に応える必要がありますが、以下のものがあります。
患者宅への医薬品・衛生材料の供給、薬歴管理 (薬の飲み合わせの確認)、服薬の説明 (服薬方法や効果等の説明、服薬指導・支援)、服薬状況と保管状況の確認 (服薬方法の改善、服薬カレンダー等による服薬管理)、副作用等のモニタリング、在宅担当医への処方支援 (患者に最適な処方(剤型・服用時期等を含む)提案)、残薬の管理、麻薬の服薬管理と廃棄、ケアマネジャー等の医療福祉関係者との連携・情報共有、医療福祉関係者への薬剤に関する教育
こう羅列すると難しそうな印象がありますが、患者さんの求めることを提供するという姿勢は医療従事者としてどこで働いていても変わりません。
-収入や待遇
在宅医療薬剤師の年収は所属する薬局や在宅療養支援診療所により異なりますが、夜間や休日のオンコール等に手当がつき、一般的な調剤薬局の年収よりは高くなる傾向があります。在宅療養をされている患者さん中には、終末期でいつ急変がおこるか分からない方もいらっしゃいますので、薬剤師にも緊急の呼び出しがかかる可能性があります。これが苦痛と感じるか、やりがいと感じるのかで収入と待遇への満足度が変わってきます。所属する施設により、オンコールを当番制にするところもありますが、まだまだオンコールの対応までできる薬剤師の数も時間的余裕もないのが現実です。やる気のある人がなんとか回しているというのが現状でしょう。
-やりがいとは
在宅医療薬剤師はどの薬剤師の業務より患者さんと距離が近く、患者さんの家族とも深く関わります。そして他職種と連携し、チーム医療の中で薬剤師の職能を発揮できればとてもやりがいが大きいでしょう。患者さんの生活、治療、想い、死について考える立場にある薬剤師は他にありません。そして今後在宅療養患者は確実に増えていきます。社会のニーズに応えられるという点でもやりがいを感じるでしょう。
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