フリーランス薬剤師の「確定申告」・「税金」が分からない方のために-個人事業主の確定申告

フリーランスに興味がある方で、一番心配なのは確定申告かと思います。正社員やパートなどでは、会社から社会保険料や源泉所得税、住民税が引かれて、給料として賃金を得ることができました。フリーランスになると、税金を支払うために、自分自身で確定申告をしなければなりません。初めてのことでわからないと思います。フリーランス薬剤師、個人事業主薬剤師のお役に立てる記事にしたいと考えております。

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この記事では、下記の読者に情報発信できたら幸いです。
・フリーランスに興味はあるけど、確定申告ってなに?
・どういった人が確定申告が必要なのか
・会社員だけど、税金のことを事前に知っておきたい

【注意】こちらの記事はあくまで、フリーランス薬剤師による確定申告の体験談です。自己責任で確定申告を実施するようにしてください。
 確定申告書の書き方は、国税庁の確定申告の手引きを参考にするとスムーズに行うことができます。是非ご参考ください。

国税庁 確定申告の手引き
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/index.htm

フリーランス薬剤師の「確定申告」・「税金」が分からない方のために!-個人事業主の確定申告

目次
◆はじめに
◆確定申告が必要な方って
◆所得の種類って何があるのか
◆所得税、住民税、事業税はいつ払うのか

◆確定申告の流れ

①所得金額を明確にする青色申告決算書(青色申告)or収支内訳書(白色申告)

②確定申告書

令和5年10月1日から始まる適格請求書(インボイス)におけるフリーランス薬剤師(個人事業主薬剤師)の影響とは

令和4年8月1日 収入が300万円を超えない副業は、事業所得ではなくて雑所得になる可能性!?

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◆はじめに

確定申告ってなんだろう?

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続です。国税庁から引用 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2012/a/01/1_01.htm


「稼いだ金額」を自己申告して、税金を計算して、納めるためのものが「確定申告」です。確定申告の手続きを代行できるのは、税理士のみになっていますので、原則として自己申告制になっております。

 働いて賃金を貰うのは正社員やアルバイトの場合が多いでしょう。この賃金は給料所得と言われております。源泉徴収や住民税、社会保険料が控除されて、支給されるので、全部使うことも可能だったのではないでしょうか。


 私も、社会人初めての給料はパーッと使ってしまいましたね!

何も考えることなく「使えるお金」と認識できているのが、サラリーマンでしょう。もちろん、貯金や趣味のお金などしっかり把握すると思いますが、税金のことはあまり考えずに済みますよね。


 しかし、フリーランス薬剤師、個人事業主薬剤師の場合は、賃金は事業所得や雑所得なので、確定申告をして、所得税や住民税などを別途納めなければなりません。

 例えば、フリーランス薬剤師で事業所得年間240万円(月20万円想定)もらったら、その中で税金を支払う部分を貯蓄しなければなりません。*2022年8月現在 副業の「300万円以下は雑所得」になる可能性が出てきています。こちらはあくまで一例とさせていただければ幸いです。

 年間 事業所得 240万円 (納める税金 71.9万円)
納める税金の内訳(白色申告、40歳以下、配偶者扶養なし)
・所得税 98,000円
・住民税 202,000円
・国民健康保険料 227,000円
・国民年金 192,000円

弥生 個人事業主のかんたん税金計算 参考
https://www.yayoi-kk.co.jp/kakuteishinkoku/simulation.html

事業所得月20万円の納める税金は月5.9万円程になります。
つまり自由に使えるお金は14.1万円です。

「稼いだ金額」から税金が計算される仕組みなので、払えないことはないです。

一定の金額は「税金なんだ」と思って行動しておかないとあとで支払いできなくなってしまいますので注意してください。後払いの税金の恐ろしいところです。

サラリーマン薬剤師は確定申告が必要ない方が多く、本業に集中できる環境がありました。本当に恵まれているわけです。

フリーランス薬剤師である私も、常に税金のことを気にしています。いつにどれくらい支払うか、それまでにいくら貯金しなければならないのか。日々のストレスは多めです・・・


確定申告がフリーランス薬剤師の第一障壁と言えるでしょう。

◆確定申告が必要な方って

① 給与の収入金額が2,000万円を超える

② 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える

③ 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える

④ 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた

⑤ 給与について、災害減免法により所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた

⑥ 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税等を源泉徴収されないこととなっている

正社員として働いていて副業している薬剤師は②が該当する可能性があります。


個人事業主開業届を出していない場合は、フリーランス薬剤師の所得は事業所得ではなく、雑所得に分類されます。
業務委託契約で報酬を受け取った場合は給料所得ではなく、事業所得もしくは雑所得になります。雇用契約か、業務委託契約かは使用従属性の有無で判断されます。

【関連記事】フリーランス薬剤師の業務委託契約で注意すること 【詳細はこちら

上記の表から、年間20万円を超えると確定申告が必要になりますね。

つまり、確定申告が必要な薬剤師は、
・個人事業主開業届を提出している方
・雑所得が年間20万円を超える方

◆所得の種類って何があるのか


事業所得や給料所得と言われても、もらえるお金は同じなんだから、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

どういった方法で、お金を稼いだか」が所得を分類する指標になっております。
所得の種類を把握すると理解しやすいですよ。

所得の種類はこちら
◇事業所得・・・営業等所得、農業所得が該当。所得計算は青色申告決算書または収支内訳書で計算。
◇不動産所得・・・土地や建物などの不動産の上に属する権利など。
◇利子所得・・・預金等の利子など国内で源泉徴収されないものなど。
◇配当所得・・・株主の配当や投資信託の収益の分配など。
◇給料所得・・・給料、賃金、賞与などこれらの性質を有する所得。
◇雑所得・・・他の所得に当てはまらない所得。(公的年金等orその他)
◇譲渡所得・・・譲渡した資産を取得してから譲渡するまでの所得。
◇一時所得・・・賞金や生命保険の一時金など臨時・偶発的なもので対価のない所得

上記から、アルバイト・パートやサラリーマン薬剤師は、給料所得があると言えます。

フリーランス薬剤師・個人事業主薬剤師では、個人事業主開業していれば、事業所得に該当する可能性が高く、事業ではない場合は、雑所得(その他)に分類されることでしょう。


 あくまで、「事業所得に該当するか」、「雑所得に該当するか」は、税務署の判断によりますので、事前に最寄り税務署で確認しましょう。

 そして、「給料所得か」、「事業所得か」は雇用契約もしくは業務委託契約によって判断しますが、契約性質上、「使用従属性」の有無が重要になります。

 もし、株式の利益や生命保険の一時金などがある場合は、別途該当項目をお調べください。フリーランス薬剤師、個人事業主薬剤師に該当する項目のみ解説しております。

◆所得税、住民税、事業税はいつ払うのか


所得税は・・・確定申告をしてすぐに納めます。予定納税を行う場合もあります。予定納税とは、税金の前払い制度です。

住民税は・・・一括(納付期限は6月末まで)か4期分割(納付期限は第1期が6月末まで、第2期が8月末まで、第3期が10月末まで、第4期が翌年1月末まで)で納付する。

個人事業主税は・・・個人事業税の期限は8月と11月です。納付額が1万円以内であれば8月に一括払い、それ以上の場合は8月と11月の分割で支払うよう納税額を分けた納付書になっています。

所得税と住民税はサラリーマンでは自動的に会社が天引きされていたと思います。一括払い、分納払いでは、1回あたりの支払額が増えます。数十万単位の支払いは想定しておかないと、いざという時に支払うことは難しいでしょう。税金面でもサラリーマンは会社に守られていると感じております。

サラリーマン薬剤師よりもフリーランス薬剤師や個人事業主では、「税金を意識」すべきでしょう。

◆確定申告の流れ

① 毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得と経費を把握
② 最寄り税務署もしくは国税庁のホームページで最新版の「確定申告の手引き」を入手
③青色申告決算書もしくは収支内訳書の作成
④確定申告書の第一表、第二表を記載して、提出。
⑤所得税を納付もしくは還付を受ける。
確定申告書を元に、住民税や個人事業主税が数か月後、納付書が届く。

ここでのポイントは、最新版の「確定申告の手引き」を入手しましょう。毎年税制は改正されますので、しっかりと把握する必要があるためです。

【参考】国税庁 確定申告の手引き【詳細はこちらから

◆所得金額を明確にする青色申告決算書(青色申告)or収支内訳書(白色申告)

◇青色申告決算書(青色申告) 【PDFはこちら


青色申告の最大のメリットは65万円の特別控除です。また赤字の場合、3年間繰り越すことが可能などとても良い利点があります。
しかし、青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所管の税務署に提出することが必要です。また複式簿記で帳簿をつけなければなりません。
また、経費の分別が何に該当するかは、税理士もしくは税務署に相談して、正しい経費計上するようにしてください。
白色申告は、帳簿づけが必要ですが、単式簿記で済むため簡単です。

◆確定申告書用 第一表 第二表

青色申告決算書または収支内訳書が完成したら、確定申告の手引きを閲覧しながら、確定申告書B用の第一表を第二表を完成させれば、書類の完成です。

◆令和5年10月1日から始まる適格請求書(インボイス)におけるフリーランス薬剤師(個人事業主薬剤師)の影響とは

インボイスとはなんなのか。

売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
国税庁 HP
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm

売り手がフリーランス薬剤師で買い手が調剤薬局になります。


フリーランス薬剤師が勤務した場合、請求書を先方にお送りします。その請求書に基づき調剤薬局が報酬を支払います。

従来は、フリーランスとして勤務した場合の請求書は、下記の項目で作ります。

1.発行者の氏名又は名称
2.取引年月日
3.取引内容
4.受領者の氏名又は名称

たとえば、
取引内容において(業務委託費300,000円+税30,000)を売り手から買い手に請求したとしましょう。商取引には通常「消費税」が課税されています


フリーランスはこの報酬を受け取って終わりでした


買い手(調剤薬局)が消費税課税事業者の場合が多いと思います。(課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税義務が免除されます。)


調剤薬局は消費税30,000円を支払っております。つまり、他の事業で得た消費税から、この消費税30,000円を控除することができます。

仕入税額控除と呼ばれるもので、消費税課税事務所である調剤薬局が納める消費税を少なくできます。

しかし、このインボイス制度では、適格請求書でないと、仕入税額控除を行うことができないというものです・・・
つまり、調剤薬局からみると、消費税を節税できないため、フリーランス薬剤師もしくは個人事業主薬剤師の業務委託報酬を下げる可能性があります。

適格請求書の記載事項は下記になります。

1.発行者の氏名又は名称
2.取引年月日
3.取引内容
4.受領者の氏名又は名称
5.軽減税率の対象である旨の表記
6.適用税率ごとに区分した合計額
(10%適用商品の合計額と8%適用商品の合計額を区分すること)
7.インボイス制度の登録番号
8.適用税率
9.適用税率ごとの消費税額の合計

では、適格請求書を作成すればいいんでしょ?と思われるかもしれませんが、請求書を発行する全ての人が「適格請求書」を発行できるわけではありません。

発行する要件として「消費税の課税事業者」でなければなりません

フリーランス薬剤師、個人事業主薬剤師では、課税売上高が1,000万円以下の事業者の場合は消費税納税義務が免除されております。つまり適格請求書は発行できない場合が多いでしょう。

消費税課税事業者選択届を税務署に提出すれば、インボイス制度を利用できます。
消費税課税事業者選択届を提出するか、業務委託費を下げるか、難しい対応が来ることを想定しなければなりません。

収入が300万円を超えない副業は、事業所得ではなくて雑所得になる可能性!?

2022年8月1日に国税庁から副業の所得についてパブリックコメントとして発表されました。

事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するのであるが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。
引用 国税庁

わかりやすく説明するなら、正社員がおこなう副業で所得300万円以下なら、事業所得ではなく雑所得に分類するけどいいですか?ということです。

たしかに、これまでは、事業所得と雑所得の区別は曖昧ものでありました。自分が事業と認めたから事業所得だと主張する方もいるみたいで、一理ありそうです。しかしながら、所得分類を客観的に把握した場合、事業所得か雑所得を判断するのは、税務署です。何かわからないことがあれば、税理士もしくは税務署に相談すると良いでしょう。

個人的な意見ですが、時代背景として副業を推進する流れです。それとは逆行して、所得の低い副業は雑所得に分類され、税制上不利になります。つまり、所得が低い副業の確定申告者のモラルにメスが入ったのではないかと感じます。

追記:2022年10月7日に公表した通達の改正案では、「帳簿書類の保存がなく、かつ収入金額が300万円以下の場合には雑所得とする」

帳簿書類の保存があれば、収入が年間300万円を超えない副業も事業所得にできると、1ヵ月で7,059通の意見により大幅に修正されました。

時代は副業を推進する流れですが、サラリーマンの過度な節税の対策で副業300万円の対策を行ったようです。過度な節税については、個別に対応すると思いますから、経費計上には注意を払ったほうが良いでしょう。

最後まで見て頂きありがとうございます。

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